月別アーカイブ: 2014年11月

人は本当に自宅で死にたいのか

私は訪問診療をやっていながら、「本当にひとは自宅で死にたいのか」という疑問を常々持っています。                                           世の中や政府が在宅に誘導する最大の理由は政府が行ったアンケート調査で6割以上の人が最期を自宅で過ごすことをのぞんでいるという結果からです。(よく在宅のほうが病院より医療費が安くなるからということをいう人がいますが、海外で在宅が進んでいる国では在宅のほうが医療費がかかるという結果がでており厚労省もそれは充分に知っています。)

 

けれども、自分自身を翻ってみて、どれだけ自宅にいたいものなのかということが実感できずにいます。一方で、こうした考えを持っていることで、患者さんへの療養方針に迷いやゆらぎがでていたのではないかと反省もしています。そして、この命題を考えた時に、こうした軸が乱れた状態をつづけていて本当に答えが出るとは思えず、もしかするとこのままでは自分が終末期になるまででないのではないかとも思われました。

 

では、どうすべきか。                                                          私の現時点での答えは、「徹底的に在宅にこだわってみる」ということだと思っています。                   「在宅では無理なんじゃないか」と思った時に、もう一度冷静になって「在宅がダメな理由はなにか」、「もっと何かをすれば在宅療養できるのではないか」ということを徹底的に考えることだと思っています。

医療現場こぼれ話 ~8~ 「舌出して。」

先輩医師から聞いた話

外来診察室で、30代前半の女医さんが、70代のおじいさんの診察をしていた時                               女医「じゃあAさん、舌出して」                                                おじいさん「え~、若い先生の前で恥ずかしいなあ」                                         女医「はあ、照れるような歳じゃないでしょ(笑)」                                                                するとおじいさんはおもむろに立ち上がり、ズボンと下着を下ろした。                                   女医「Aさん、なにしてるの!?」                                               おじいさん「えー、だって先生、『下出して』っていうから・・・」

泣いている暇があったら考えなさい

女医であった母の涙を見たのは、40年近いつきあいの中でほんとに数えるほどでした。

彼女いわく「女医だからといって泣いているようじゃダメ。泣いて患者が助けられるならいくらでも泣くわ。」と。                                  泣いている暇があったら、どうやったら患者が助けられるかを考えなさい。という教えでした。

「泣く」という行為は、どうにもできない運命の中で自然に涙が出て泣くことはもちろんあります。しかし、思い返してみると、そういったことは本当に数えるほどです。多くは、自分の思い通りにならなかったり、だれかに助けを求めたくて「泣く」という行為が起きているのではないでしょうか。

プロフェッショナルとはなにか。 当院の行動指針では以下のように定めています。

プロフェッショナルとは、顧客に対して自分たちの提供サービスの責任をもつことである。そしてその責任を全うするために全力をつくすことである。

とはいうものの、実行することは決して容易なことではありません。日々こうありたいと思い、診療にあたっています。

医療現場こぼれ話~7~ MGとMK

大学病院時代に聞いた話

いま病院の中で医師が使う専門用語は英語がほとんどですが、かつてはドイツ語がよく使われてました。      ドイツ語では、                                                          胃のことを Magen(マーゲン)                                               潰瘍のことを Geschwür(ゲシュール)                                          癌のことを  Krebs(クレプス)                                                 と呼びます。                                                           ですので、胃潰瘍は Magen Geschwür で 略して、MG、胃癌は Magen Krebs で略して MKと呼んでいました。

当時私のいた大学病院では、臓器別に病室が別れていました。また、週に一度主任教授回診というのがあり、教授がひとりひとりの患者の顔を見て回り、若手医師が患者の病状を説明していきます。

胃の疾患の人が入っていた4人部屋でのこと                                       若手医師「Aさんは MKです」                                                                若手医師「BさんもMKです」                                                            若手医師「CさんもMKです」                                                              若手医師「DさんはMGです」

回診後・・・・                                                                   Aさん「MKとかMGというのはどうやら病名らしいな。俺達みんな胃の病気って言われているから、Mが胃の意味だな」                                                                     Bさん「ということは、Kは潰瘍のKで、GはがんのGじゃないか」                                    Cさん「なるほど。そういえば俺は潰瘍って言われているよ」                                           これを聞いたDさんは、   「そうか・・・俺、癌なんだ・・」と落ち込んだそうです・・・・