月別アーカイブ: 2014年10月

医療現場こぼれ話~6~ ナースコール

研修医時代の話

研修医というものは、医学は勉強してきているものの臨床は全く経験がありません。ですから、経験のある看護師さんからはそれはそれは厳しいご指導をいただくわけです。そんななかでもとりわけTという研修医に厳しい看護師がいました。                                                    仕事の上では見返せない研修医としては、なんとかそれ以外でやり返したいと思っていました。

T看護師が夜勤の夜。個室の1号室(仮)は、その日の昼間に患者さんがお亡くなりになって、空室になっていました。

深夜。                                                             我々研修医は、医局からそおっと病棟まで非常階段を使い上がります。防火扉を開けると真っ暗の廊下の向こうに1号室。部屋の扉を開けると、窓からの光に浮かび上がるベッド。その枕元にはナースコール。そっと中に入った我々はそのナースコールを  「ぶちっ」  「プー、プー、プー」とコール音。それを確認したと同時に音を立てないように脱兎のごとく非常階段へ!

翌朝。                                                                 ナースステーションでは日勤の看護師たちと興奮気味に話すT看護師。                        T「きのうさあ、誰もいない1号室からナースコールがあったんだよ!」                        日勤看護師「そういえば、昼間にAさんがなくなってたよねえ、恨みでもあったんじゃない」             T「ええーー」

朝の仕事をこなしつつ、ほくそ笑む研修医たちであった。

ちなみに、その後患者のいないベッドのナースコールは外されるようになりました。残念。

”開業医の診療はザルの目の大きさが重要”

私の母はもともと小児科医でした。とはいうものの、昭和40年代のから50年代の田舎ではまだまだ開業医が足りないという事情もありましたから、専門の診療科だけを見ていれば良いなどという時代ではありませんでした。当時の実家の診療所には私の記憶では目を洗浄する器具やら、耳の中を見る道具など、内科や小児科以外のものがたくさんありました。                                           また、今で言う「家庭医」のような役割というのが当たり前でしたから、おじいちゃん、おばあちゃんから孫まで3世代すべてがかかりつけの患者さんなんていうこともよくあることでした。                                                         そんな中で母から教えられたことのひとつです。

開業医は”ザルの目”が肝心だと。                                                 儲けようと思ってザルの目を細かくするとザルの中には患者さんは貯まる。しかし、そうやって自分の専門分野以外や、専門分野でも開業医では難しい症例を抱え込むと必ず患者さんの命を危険に晒すことになると。一方で、心配だからといってザルの目を粗くして、あれもこれも病院やら専門家へ紹介してしまうと、ザルの中は空っぽになって生計が成り立たない。だから、”ザルの目が肝心”と。

そのザルの目を細かくするためには、無理なく患者さんを診るための知識や技術を身に付けるしかないのだと思います。そしてまた、自分自身の実力を良く知って、ザルの目を細かくするところと粗くするところのメリハリをしっかりつけることなのだと思います。

医療現場こぼれ話~5~ ジュース

研修医時代に先輩から聞いた話

当時は癌の患者さんにはほとんど病名を告知しない時代でした。術後に抗癌剤の治療をする時でも、「体質改善の薬」とか「潰瘍の再発予防の薬」などといって行っていました。                                当時、注射の抗癌剤で鮮やかな紫色したものがあり、よく使われていました。

一方で、研修医は先輩医師に言われるがままに、点滴したり注射したりと病棟を走り回る兵隊で、患者さんに病状の説明をすることなどありません。

癌で抗癌剤治療を受け始めたAさん。そこへ例の紫色の注射を射ちに来た研修医B医師。                          B医師「Aさん、それじゃあ注射しますね」                                                     Aさん「B先生、それ何の注射ですか?」                                                B医師 「ええっ」   しばし、紫色の薬が入った注射器を見つめたあと                                       「これ・・・  グ、グレープジュース!」

医療現場こぼれ話~4~ 汗っかき

大学病院での研修医時代の話

同僚のA医師はとにかく汗っかき。病棟で医療処置をしている時も汗をダラダラ。

職員控室でB看護師とC看護師が、A医師の汗っかきについて話をしていた                    B看護師「A先生、汗っかきひどいよねえ」                                          C看護師「そうそう。消毒してある医療機器に汗が落ちて汚いんだよね」

すると、横に座っていたD看護師がおもむろに話に入ってきて、                                       「A先生の汗でしょ! 目に入るとしみるんだよね」                                          全員「・・・・・」(それってどんな態勢になるとA先生の汗があんたの目に入るの??)

若い時って素晴らしい。