医療現場こぼれ話~6~ ナースコール

研修医時代の話

研修医というものは、医学は勉強してきているものの臨床は全く経験がありません。ですから、経験のある看護師さんからはそれはそれは厳しいご指導をいただくわけです。そんななかでもとりわけTという研修医に厳しい看護師がいました。                                                    仕事の上では見返せない研修医としては、なんとかそれ以外でやり返したいと思っていました。

T看護師が夜勤の夜。個室の1号室(仮)は、その日の昼間に患者さんがお亡くなりになって、空室になっていました。

深夜。                                                             我々研修医は、医局からそおっと病棟まで非常階段を使い上がります。防火扉を開けると真っ暗の廊下の向こうに1号室。部屋の扉を開けると、窓からの光に浮かび上がるベッド。その枕元にはナースコール。そっと中に入った我々はそのナースコールを  「ぶちっ」  「プー、プー、プー」とコール音。それを確認したと同時に音を立てないように脱兎のごとく非常階段へ!

翌朝。                                                                 ナースステーションでは日勤の看護師たちと興奮気味に話すT看護師。                        T「きのうさあ、誰もいない1号室からナースコールがあったんだよ!」                        日勤看護師「そういえば、昼間にAさんがなくなってたよねえ、恨みでもあったんじゃない」             T「ええーー」

朝の仕事をこなしつつ、ほくそ笑む研修医たちであった。

ちなみに、その後患者のいないベッドのナースコールは外されるようになりました。残念。